2020年12月6日、東京駅の目の前、イルミネーション輝く丸の内仲通りに設置された屋外客席のキッチンカースペースを借り切って、サンマリノに贈る『平和の鐘』のお披露目の会が行われました。
この鐘は、ニューヨークの国連本部にある『国連平和の鐘』の子鐘で、平和の国サンマリノ共和国から世界に平和の願いを打ち鳴らすべく、世界中の方から寄せられた、平和への祈りのこもったコインやメダルなどを鐘に鋳込んで作られたものです。
贈呈式は今年、『サンマリノ・ニッポンまつり2021』で行われる予定ですが、サンマリノに旅立つ前に、まずはこれまでニッポンまつりにご協力くださった皆様にぜひともご覧頂こうと、『国連平和の鐘を守る会』関係の方々も集まってのお披露目パーティとなりました。
光あふれる都会の真ん中に平和の鐘が響き渡る
場所は、東京駅のすぐ目の前、丸の内仲通り『新丸ビル』前。
コロナ禍で、例年より人通りは少ないものの、ブランドショップが並ぶ約1.2kmに及ぶ丸の内仲通りは、冬の風物詩『丸の内イルミネーション2020』が開催中で、220本を超える街路樹がシャンパンゴールドのLED約120万球で彩られていました。
まさにその光の海のど真ん中に設置された、キッチンカー前の屋外客席。サンマリノワインと、日本の冬の代表メニュー、あつあつの『おでん』や、ビーガンカレー、シチューなどなどの温かくて美味しい料理を、今話題のキッチンカーを囲んで楽しもうという、プライベートな集まりです。
三密を避けるために、真冬の屋外での会となりましたが、お声がけした方々から「是非伺います!」と、うれしいお返事をいただき、15:30、イルミネーションの点灯時間にあわせて、『お披露目の会』がスタートしました。
新丸ビル入り口にあるキッチンカーの前に敷かれた赤い毛氈。
柱の横に『平和の鐘』が置かれ、カン!と響き渡る歌舞伎の附けの音と共に始まったのは、歌舞伎役者、中村橋吾さんによるオリジナル演目『平和成祈鐘(へいわになるやいのるはこのかね)』です。
橋吾さんは、成駒屋、中村芝翫さんのお弟子さんで、これからの歌舞伎界を担うホープ。
コロナ禍で舞台が次々と中止になる中、歌舞伎の枠を超え、配信などを通じた歌舞伎を広める活動で頑張っています。
戦後間もない頃に国連に『平和の鐘』を送ることにただ一人尽力し、その一生を世界平和にかけた中川千代治氏の想いに共感された橋吾さんは、自らこの演目を作り上げました。9月21日に、大阪の万博記念公園で行われた『平和の鐘・鐘打式典』で初披露。今回も是非『お披露目の会』で演じたいと、国立劇場の舞台出演の合間をぬって参加てくださいました。
仲通りに響き渡る、張りのある橋吾さんの声。それに合わせて打つ、御諏訪太鼓の継承者、西野恵(にしのめぐむ)さんの太鼓。凛と張り詰めた雰囲気に、参加された方々は大喜び。通りすがりの方々も、みなさん足を止めます。
続いて、『国連平和の鐘を守る会』の高瀬聖子代表から、中川千代治氏の『平和の鐘』と世界平和への想いについてのお話があり、高瀬代表によって、サンマリノ共和国に贈呈される『平和の鐘』が打ち鳴らされました。
美しい鐘の音が会場に響き渡ります。梵鐘の音にそぐわない異空間かと思えるビルの谷間ですが、鐘の音の響きは、余韻を残しながら、人の心も高層ビルも包み込んで、冬の空に登っていくよう。とても素晴らしい音色でした。
サンマリノに日本の心を届けるために
『サンマリノ・ニッポンまつり2019』にも参加された、都議会議員の石毛しげる先生による乾杯のご発声で、ここからは、ワインと温かいお料理の食事もスタート。
テーブルセッティングのされた席につき、フルコースの料理がサーブされ……というのではなく、街路樹を囲むようにセットされたテーブルとハイチェアのコーナーに腰掛け、キッチンカーからワインや、ビーガンカレー、野菜スープ、シチュー、おでんなどをお好みで選んで頂く、まさに都会の一角の野外パーティスタイルですが、皆さん、それをとても楽しんでいる様子です。
これまでに『サンマリノ・ニッポンまつり』に参加してくださった、御諏訪太鼓のチーム『COHAN JUKU』の方々、『西馬音内盆踊りを楽しむ会』の皆さまも、今回のお披露目の会の話を聞き、是非皆様の前で太鼓や踊りをご披露したいと、集まりへの参加を申し出てくださいました。
秋田県の西馬音内(にしもない)盆踊りは、徳島県の阿波踊り、岐阜県の郡上おどりと並ぶ日本の三大盆踊りの一つで、半月型の編み笠や彦三頭巾で顔を隠した踊り手たちが、『端縫い』と呼ばれる、数種類の絹織物をパッチワークのように継ぎ合わせた着物や、藍染の浴衣などをまとって踊ります。優雅で流れるような上方風の踊りが特徴で、特に女性の指先のしなやかにうねるような動きがとても幻想的で美しいことで有名。
ちょうど日の落ちた丸の内の夜の風景と、イルミネーションの輝きのコントラストの一角で、幻想的で優美な世界を作り出してくださいました。
『COHAN JUKU』の太鼓は、にぎやかな祭り太鼓とはまた違った、心に響く魂のこもった太鼓です。プライベートな集まりでは音が大きすぎるのでは? などという懸念は、始まったとたんに消えてしまうほどの説得力。その音に引き寄せられるように、行き交う通行人の方々も、太鼓を囲むパーティの輪の中に混ざって楽しんでいる姿が印象的でした。
「何の会ですか?」「この鐘は何ですか?」というご質問に、我々もできる限りご説明にあたりました。
今回の集まりは、『平和の鐘』のお披露目だけでなく、サンマリノに送られる前に、みなさんにこの鐘を叩いてもらいたい、という意味もあります。最後は、参加された方や、通りすがりで叩いてみたいという方々に、実際に鐘を叩いてただきました。
今の時代、除夜の鐘以外に、こんな大きな梵鐘を叩く機会はめったにありません。
軽く叩くだけで響く音や、その長い余韻に驚く方も多く、そんな様々な方の想いが、また鐘の中に染み込んで行く、素敵な会になったと思います。
今後、この鐘は、日本の様々な場所で、たくさんの方に叩いていただこうと考えています。設置場所などが決まりましたら、またこのHPで告知いたします。
Comentários